SRE 水落啓太 / Datachain社員インタビュー
経歴
― まずは、ご経歴について教えてください
私は2015年にヤフーに新卒入社し、はじめはバックエンドエンジニアとして広告システムの開発に従事しました。その後、ヤフーのテクノロジーグループに異動し、社内クラウドの開発・運用を担当しました。ここでは、プライベートPaaSの開発・運用やプロダクトオーナーとしての役割、プライベートKaaSの開発・運用などに関与しました。
その後、N.Avenueに転職し、NFTプロダクトの立ち上げ開発に携わりました。そして、2023年6月にDatachainに入社し、TOKIのインフラ構築・運用を担当しています。
―次に、Datachainに入社を決めた理由について教えてください
Datachainに入社を決めた理由は、大きく3つあります。
ミッションの魅力
事業・組織体制の魅力
自身のスキル・指向性とのマッチ
それぞれ、以下で詳細をお話していきます。
1. ミッションの魅力
Datachainはインターオペラビリティ技術をコアに、世界のシステムをつなぐことで、グローバルでの価値創出をミッションとしています。
私は、技術を軸にグローバルに貢献できる仕事をしていきたいと思っていたので、Datachainのミッションが魅力に感じました。
私はソフトウェアエンジニアリングが大好きです。工夫を凝らしたソフトウェアを設計・実装し、そのソフトウェアが物事を良くしていくプロセスが面白いです。中でも、ソフトウェアエンジニアリングの良さは、開発したソフトウェアを簡単に複製・配信でき、ソフトウェアの価値を低コストで世界に届けられる点にあると考えています。なので、自身のキャリアとしては、地理的制約に縛られないソフトウェア本来の性質を活かして、グローバルに貢献できる仕事をしていきたいです。
そもそもDatachainが注力するインターオペラビリティ技術は、ソフトウェアが国境を越えるように、デジタル資産が異なるブロックチェーンネットワークを超えていくための技術です。ブロックチェーン自体は、少しずつ、しかし確実に、世界経済の一部を支えていくと考えられます。インターオペラビリティはそのような時代の根本的な課題を解決する技術です。自身にとって納得ある課題解決領域に感じられます。
このようにスケール感のある技術と事業に取り組むDatachainでの仕事は、私の価値観・キャリア観に強くマッチしているように感じられました。
2. 事業・組織体制の魅力
Datachainのミッションは非常に高い一方、ミッションを本当に達成できるのだろうか? という疑問は入社前に確認しなければならないポイントでした。
世界で勝負をするということは、世界の競合と競っていく必要があるということであり、高いレベルが求められるでしょう。
この点についても、Datachainについて疑念がありませんでした。
まず資金面についてです。ブロックチェーンビジネスでは、長期間、事業継続できる資金力がなければ勝ち抜く見込みはありません。私は、ブロックチェーンビジネスの最新情報が集まるブロックチェーンメディア企業が前職だったこともあり、ブロックチェーンビジネスがじわじわと長い時間をかけて勝負していく分野であることを認識していました。
この点、Datachainは、CEO久田自身が創業した上場企業であるSpeee社が資金面においてバックアップしており安心感があります。
そして人材面について、技術面においてはR&Dを主力としている会社であることもあり高水準です。
ブロックチェーン技術に関しては、客観的にもInterchain FoundationやLinux Foundation配下のブロックチェーンのOSSコミュニティであるHyperledgerから評価されるなど世界水準です。
一般的な開発においても、他企業にてシニアエンジニアやリードエンジニアを務めていたような経験豊富なエンジニアが集まっており、高い開発能力があるといえます。
またDatachainが特に良いと思える点は、技術サイドだけでなくビジネスサイドにおいても様々なビジネス領域で実績を挙げてきた人々が集まっており、競争力のあるビジネスモデルを立案・推進しています。
このように資金面・人材面において、強力な布陣を持つことが分かり、安心して自身の仕事に取り組めるのではないかと想像できました。
3. 自身のスキル・指向性とのマッチ
最後に私自身がDatachainでどのような貢献ができるかです。私は大好きなソフトウェアエンジニアリングで活躍したい思いが強く、自身がどのようなパフォーマンスを出せるのかは重要な問題です。
私のソフトウェアエンジニアとしての強みは、SREプラクティスを軸とした、サービスインフラの構築・安定稼働に向けた課題解決です。私は、プラットフォーム構築・運用のSREエンジニアとしてこれまで研鑽を積んできました。特に前々職でのヤフーでは、アサインくださった方々や、案件に恵まれた運もあり、SREピラミッド全7層について実践の機会に恵まれました。時々のチームの方と共に、大小様々な運用課題に向き合い解決に取り組みました。そしてそれらの取り組みの中で、SREエンジニアとしてのビジネス貢献のあり方について多くを学ぶことができたのです。
「まさに今も」ですが、私が応募を考えたときも、DatachainはSREエンジニアを強く求めていました。Datachainは、R&Dされたプロダクトをプロダクション運用に乗せるというSRE文脈における課題を多く持っています。
過去の経験がそのまま通用する訳ではないにせよ、DatachainのR&Dの成果がプロダクションサービスとして世に出ていくにあたり、自身の貢献余地が大きくあると感じられました。特に、前述通り、Datachainでは、Dev/Biz共にプロフェッショナルが集まっています。そのような方々と共に、自身もSREのプロフェッショナルとして存分に仕事ができるのではないかとワクワクした点は、入社にあたり決定的なポイントでした。
今何をしているのか
― ありがとうございます。続いて、直近はどのような業務に取り組んでいますか?
現在は、異なるブロックチェーン間でトークン移転を実現するクロスチェーンブリッジと呼ばれるプロダクトであるTOKIのローンチに向けた、インフラ構築および運用体制の構築に集中しています。
具体的には、Datachain開発のミドルウェアを初め各種ブロックチェーンノードの運用方針の策定および実装や、TOKIを支えるWebアプリケーションのデプロイ、スマートコントラクト (ブロックチェーン上のアプリケーション) のアップグレード体制の構築、そしてセキュリティ設計・ポリシーの策定などです。
技術スタックとしては、Azure Kubernetes Service (AKS) を中心に、監視・SLI/O系にはOpenTelemetry、CICD系にはArgo CD, Argo Workflowsとオーソドックスな構成を採用しています。
ブロックチェーン周りでは、クロスチェーン処理向けのAKS上の自社運用だけでなく、高トラフィックが予想されるオンライン処理向けにはChainstackなどBaaS (Block Chain as a Service) の導入検証も実施しています。
まずはプロダクトの初期フェーズということもあり、スピーディーに信頼性を獲得していく必要があります。シンプルさを保ち堅実な構成となることを意識しています。
一方、ブロックチェーンノードやスマートコントラクトの運用やリリースマネジメントには、独特のノウハウが様々あります。
興味深い事例を紹介すると、スマートコントラクトのデプロイには、ガス代とも呼ばれるネットワーク利用のための実費がかかります。そしてガス代は時価によって変動します。つまり、いつデプロイするかによって、デプロイにかかる費用が大きく変わるのです。いつデプロイすれば格安で済むのかを分析の上、デプロイする必要があるといえます。
これから何をしていくのか
― つづいて、これから取り組んでいきたいことについても、ぜひ教えてください
TOKIローンチ時点では、まずはEthereumとBSC(BNB Smart Chain)と呼ばれる2つのブロックチェーンネットワークがつながる世界が実現します。
TOKIではこのあと、さらにつなげるネットワークを拡大していくことが計画されています。
DatachainのSREとしては、このようなビジネス計画に対して複雑性やトイルを最小化しつつ、安心して事業継続できる体制を維持していくことが求められます。
特に、前述したようなブロックチェーンに関する運用知見は、まだあまり世に出回っていません。このため自分たちで適切な運用がどのようなものなのかを考えて実装していく必要があります。
― 具体的にあげるとすると、どのような取り組みでしょうか?
やりたいことは様々ですが、ここでは2つ紹介します。
ひとつはリリース前の品質保証の自動化です。ブロックチェーンではプロダクションネットワークはもちろん開発者向けのネットワークを用いても、前述通りネットワーク利用のための実費がかかってしまいます。このため自由自在にテストを実行することが困難でありテスト自動化の障壁となります。
本問題を解決するために、自分たちのKubernetesクラスター上にプライベートなブロックチェーンネットワークを簡単に構築できる仕組みを用意します。そして自在に試験環境を作り出し、かつコストを気にせずテスト実行できる環境を作ります。このような仕組みを作るには、Kubernetesカスタムコントローラーの導入がマッチするでしょう。チームで設計を進め、実装していきたいと考えています。
もう一つは、クロスチェーン処理のトレーシング可視化です。クロスチェーン処理では送信元チェーンから送信先チェーンへ資産が移動します。サービス全体の視点ではWebアプリケーションから送信元台帳ノード、Datachain開発ミドルウェアの各種モジュールを経由し、送信先台帳ノードそしてWebアプリケーションにデータが伝播していきます。よって何かのトラブルが起きた場合には、対象のデータがどのようになっているかの把握が難しい課題が生じます。ここにトレーシングをうまく導入できれば、SREとしてクロスチェーンアプリケーションの信頼性を高めやすくなるでしょう。また、TOKIユーザーから問い合わせにも迅速かつ的確に答えるための情報源になるなど、TOKIのユーザー体験にも貢献できると考えています。
そして、DatachainのミドルウェアはOSSです。私たちのミドルウェア運用の課題は、社外の運用者にも同様であるはずです。社外の運用者にとってもDatachainミドルウェアが運用しやすくなるように、トレーシングの仕組みもOSSとして公開したいと構想しています。
最後に — We are Hiring!
― さいごに、Datachainの面談や選考を検討している方に向けて、メッセージをお願いします!
Datachainには、解決しがいのあるSRE課題が盛りだくさんです。一緒に課題解決に取り組む仲間を探しています。
Datachainは、国内でも屈指のR&Dの力とビジネス開発の力で成長してきた会社です。この力を世界に広げていくにあたり、SREはなくてはならないポジションであり、大きなやりがいを感じられるポジションだと入社して改めて思います。
事業的な魅力の他にも、SREとして造詣を深める環境としても貴重なポジションであると感じています。Datachainのプロダクトには、自社開発のミドルウェア、巨大な資産移動を守る高セキュリティ、ブロックチェーン運用、グローバル展開といった特殊性から、高度かつ達成のハードルが高い運用要件が課されるためです。
しかし、そのような運用要件さえも安定してクリアしていける、強いSREを実現したいと考えています。
当たり前のように信頼性がコントロールされ、当たり前のようにトイルが削減されていき、当たり前のように先進的運用を開拓していく。そして当たり前のように事業に貢献し、業界に貢献する。
「先進的な運用により、先進的な技術を世界に届け、先進的な事業を支える」
そんなSREを実現するのがDatachain SREの仕事です。
共にSREを強力に推進していく仲間を絶賛募集中ですので、ポジションへのご応募はもちろん、カジュアル面談にてぜひお話しできると嬉しいです。
(採用担当より)
最後までお読みいただきまして有難うございました!
カジュアル面談ご希望の方は、以下のURLからお気軽にお申し込みください。ブロックチェーンについての事前知識は必要ありません。EMの加藤 and/or SREの水落が担当させていただきます。
面談調整用URL: https://timerex.net/s/norikazu.kato_51d4/0491766b
GitHub: https://github.com/datachainlab/